万物一体論(読み)ばんぶついったいろん(その他表記)wàn wù yī tǐ lùn

改訂新版 世界大百科事典 「万物一体論」の意味・わかりやすい解説

万物一体論 (ばんぶついったいろん)
wàn wù yī tǐ lùn

中国思想史上の主題荘子慧遠などにもみられるが,北宋程顥(ていこう)(明道)が特に強調した。思想界でひときわ注目されたのは明代に王陽明良知心学一環として主張して後のことである。万物ともに気によって構成されていることが論理的根拠とされ,万物への愛に覚醒し万物の本質が現実化することを求める。人間社会に即していえば,個々の人が人格的に自立して他者に愛を及ぼし,大同社会を実現することを求めるユートピア思想である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の万物一体論の言及

【陽明学】より

…朱子学といえども自力による自己救済を目ざしたけれども,なお外なるものに依存する弱さをもつと認識して,自力主義をさらに徹底化させたのが陽明学であるともいえよう。陽明学の社会観としては,万物一体論があげられる。これは共同体の構成員がおのおの自力主義を遂行して人格的に自立した個々人が相互に真誠惻怛(そくだつ)の愛を及ぼして大同の世界を実現しようとしたものである。…

※「万物一体論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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