三上院(読み)みかみのいん

日本歴史地名大系 「三上院」の解説

三上院
みかみのいん

名草郡四院の一、「三上野院」とも記される。治安三年(一〇二三)一一月二三日の太政官符案(国立史料館蔵名草郡古文書所収薬王寺文書)に、薬勝やくしよう(跡地は現和歌山市)の所領田二〇町が「名草郡三上野院」の本渡もとわたり村・勢田せた(現和歌山市)岡田おかだ村・多太おおた(現海南市)にあることがみえる。本渡村の「五図二里拾坪壱町」、岡田村の「五(壱脱カ)坪伍段拾捌歩」の地に「三宅」の称があり、この地に収納施設(正倉)があったと推定される。この収納施設を中心に組織されたのが三上院である。

院名は「日本霊異記」中巻第三二話に聖武天皇の頃として「紀伊国名草の郡三上の村の人、薬王寺の為に、知識を率引して、普く薬分を息し、薬王寺、今謂勢多寺也、其の薬料の物を、岡田村主の姑女が家に寄せ、酒を作り利を息す」とみえる「三上の村」に求められる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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