ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三割自治」の意味・わかりやすい解説
三割自治
さんわりじち
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(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…そこには,明治国家以来の近代日本政治の特質の一部が,依然として持ち越されていた。その最大のものは,一口に〈三割自治〉といわれる財政面での中央の地方に対する優越であり,また,スト権剝奪にあらわれた公務員に対するきびしい政治活動の制限である。それは,国家官僚制を政争から超越して国益を体現すべき特権的な聖域とした戦前の伝統を継ぐものであり,やがてエリート官僚層と保守党の癒着の下に,中央から地方への利益誘導を集票装置として,軽武装下の経済成長を国家目標とする永続的な支配体制を戦後日本に建設していく基盤となった。…
…現代国家の政府収入は,大別すれば次の六つの源泉をもっている。(1)租税収入,(2)借入収入,(3)紙幣創造による収入,(4)財・用役の販売収入,(5)政府間の借款による収入,(6)その他(罰金等)。これらの収入源は,すべて同一のウェイトをもつものではない。近代国家はその本質上,〈租税国家〉であるといわれているように,資本主義国家の主要な収入源は,おしなべて租税である。
【定義と特性】
租税とは,国家または地方公共体が一般経費の財源調達のために,個別的な反対給付なくして,民間経済から強制的に徴収する貨幣または財・用役をいう。…
…日本国憲法と地方自治法は地方自治制度の組織と運営の原則を定めているが,その構成単位である地域住民によって組織された法人格をもつ地方団体を〈地方公共団体〉と名づけている。第2次大戦前にはこの種の団体は法人格をもっていたが,単に〈地方団体〉と称していた。自治権をもつ公法人であることを明確にするために導入された法令用語である。地方公共団体は,法令上,都道府県と市町村を指す〈普通地方公共団体〉と特別区,地方公共団体の組合,財産区,地方開発事業団等を指す〈特別地方公共団体〉に分類される。…
…地方公共団体の財政のこと。消費者ひとりひとりに個別的な利益を与える財貨やサービス,すなわち,私的財と呼ばれるものは,市場に参加する供給者と需要者との間の売買を通じて提供される。これに対し,消費者一般に差別なく利益を与える財貨やサービス,いわゆる公共財は,市場を通じて提供することが不可能ないしは非常に困難であるため,国と地方公共団体,すなわち国民経済の公共部門組織によって提供される。そのなかで全国的便益性をもつ公共財の提供は国によって行われ,地方的便益性の公共財の提供に対しては地方公共団体が責任を負う。…
※「三割自治」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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