最新 地学事典 「三結節説」の解説
さんけっせつせつ
三結節説
tritubercular theory
哺乳類の大臼歯の進化の仮説。E.D.Copeが提唱し,H.F.Osbornが発展させたため,一般にはコープ-オズボーンの三結節説ともいう。この仮説は19世紀末~20世紀初頭に完成したが,当時までに発見され,公になった中生代の化石哺乳類が根拠となっている。仮説の概要は,まず,爬虫類的な単咬頭の近心(前)と遠心(後ろ)に,下顎・上顎ともそれぞれ一つずつの咬頭が分化し,三つの咬頭が前後に並ぶ(三錐歯類)。中央の咬頭を軸に,上顎では近心と遠心の咬頭が頰側に,また下顎では舌側に転移し,三角形状の大臼歯を形成する(相称歯類)。下顎では三角形の大臼歯の遠心に台ができ(汎獣類),さらにそれが大きくなる。最終的につくられた大臼歯を彼らは三結節タイプの大臼歯と呼び,これから,のちの哺乳類の大臼歯が進化したと考えた。またOsbornは,この進化パターンに基づいて,咬頭の命名を行った。しかし現在では,三結節タイプの大臼歯に至る過程は,下顎は正しいが,上顎は誤りとし,図のようなパターンで進化したと多くの研究者は考えている。また,三結節タイプという言葉より,G.G.Simpsonの命名したトリボスフェニックを使う場合がほとんど。ただ命名体系だけは,Osbornのものを使うのが一般的。
執筆者:名取 真人
参照項目:トリボスフェニック型大臼歯

出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

