名取(読み)なとり

デジタル大辞泉の解説

な‐とり【名取】

芸道で、一定の技能を修得し、家元・師匠から芸名を許されること。また、その人。「踊りの名取
評判の高いこと。名高いこと。また、その人。
「かの偏屈者の―の謹次氏」〈蘆花思出の記
「東西南北の遊所から、―の美人をうけ出して」〈黄・見徳一炊夢〉

なとり【名取】

宮城県中南部の市。中心の増田はもと奥州街道宿場町植松には雷神山古墳がある。仙台市の南にあり、住宅地化が進む。人口7.3万(2010)。

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世界大百科事典 第2版の解説

なとり【名取】

芸道関係の家元からその技芸の上達を認められて,その家元を頂点とする一門を構成する門葉としての流儀固有の名を与えられること,また与えられた人のことをいう。茶道,華道その他の芸道関係でも家元にちなむ名を与え,免状,その名札などを授与するが,主として邦楽,邦舞の社会でこう呼ばれている。武道関係では技芸伝授はあっても命名はない。本来,名取になることは,教授営業権を得るということである。家元制度を発達せしめたのは,この名取制度の創案によるといわれている。

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大辞林 第三版の解説

なとり【名取】

芸道で、一定の技芸に達した者が師匠や家元から芸名を許されること。また、その人。家元を頂点とする一門の構成員として、教授をすることが認められる。 「踊りの-になる」
評判であること。有名であること。 「国に-の濡れ者と/浄瑠璃・堀川波鼓

なとり【名取】

宮城県中南部の市。仙台市の南に接し、宅地化が進む。仙台空港や東北地方最大の前方後円墳、雷神山古墳がある。

なとり【名取】

姓氏の一。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

名取
なとり

花道・茶道・香道などの生活芸能や各種の邦楽・邦舞など、家元制度を成立させている伝統的な芸道の分野で、家元が、ある程度技芸を習得した弟子に対し、自分の流儀名の何字かを与えること。その場合、家元直属の幾人かの取立て弟子を介在させて大量の名取弟子をもつといった重層的構造をとることが多い。名取になることは、社会的に家元の一員であることを公示するわけであるが、身分の保証を得ると同時に、流儀の体制内における制約を受けることにもなる。名取は家元の分身として、弟子をとって教えることを許される。家元は、名を許すに際し、相当の金額を収受し、免状や名札を授与するのが普通である。[服部幸雄]

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精選版 日本国語大辞典の解説

な‐とり【名取】

[1] 〘名〙 (「などり」とも)
① その名が多くの人に知られること。評判が高いこと。有名であること。名高いこと。また、その人。なうて。名代(なだい)
※虎明本狂言・神鳴(室町末‐近世初)「まかりくだって、上手の名どりをいたさうずると存」
音曲・舞踊などを習う人が、師匠・家元から、芸名を許されること。また、その人。
人情本春色辰巳園(1833‐35)四「何所の宅か知らねども、杵や何某(なにがし)が名取(ナトリ)の妙音、彼の古き唱哥、紅葉狩」
[2]
[一] 宮城県中部の地名。中心地区の増田は江戸時代奥州街道の岩沼と中田の間の宿駅として栄えた。名取川河口の閖上(ゆりあげ)は古くからの漁港。南の岩沼市にまたがって仙台空港がある。昭和三三年(一九五八)市制。
[二] 宮城県の中南部にあった郡。昭和三三年(一九五八)以降、名取・岩沼・仙台市に統合編入され、同六三年消滅。

なとり【名取】

姓氏の一つ。

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