家庭医学館 「上腹部不定愁訴」の解説
じょうふくぶふていしゅうそえぬゆーでぃー【上腹部不定愁訴(NUD)】
NUDとは、胃潰瘍(いかいよう)や十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)などの器質的病変がないにもかかわらず、慢性的に上腹部に不定愁訴を有する胃弱(いじゃく)(Dyspepsia)の総称として、あくまで症候論的な見地から名づけられた疾患名です。
NUDは、①胸やけや胸痛(きょうつう)を主訴とする胃食道逆流型(いしょくどうぎゃくりゅうがた)、②膨満感(ぼうまんかん)や悪心(おしん)・嘔吐(おうと)のみられる運動不全型、③夜間や空腹時に腹痛をおこす潰瘍症状型(かいようしょうじょうがた)、④うつ病などの精神症状が前面にみられる非特異型(ひとくいがた)の4つに大別されます。
●検査と診断
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆石症(たんせきしょう)、急性(きゅうせい)・慢性膵炎(まんせいすいえん)などの疾患が原因であれば、各々の診断名となり、NUDという病名は除外されます。
●治療
胃食道逆流型や潰瘍症状型にはプロトンポンプ阻害薬やH2受容体拮抗薬(じゅようたいきっこうやく)を、運動不全型には消化管運動機能改善薬が用いられます。非特異型には抗うつ薬などが使用されますが、内科と精神科との併診も必要となります。