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抗うつ薬

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

抗うつ薬

SSRIなど副作用の比較的少ない新しいタイプの抗うつ薬が承認され、軽症患者にも多く使われるようになった。古いタイプの抗うつ薬は、立ちくらみや動悸(どうき)など副作用も強かった。一方、安易に薬に頼ったり、複数の抗うつ薬を過剰に使ったりする治療も心配されている。

(2013-03-29 朝日新聞 夕刊 2社会)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

抗うつ薬
こううつやく

抑うつ気分や意欲低下など、うつ様症状の改善を図る目的で用いられる薬剤の総称。三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、NaSSA(ナッサ)(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)に大別される。
 現在承認されている抗うつ薬は、うつ病を発症する原因が脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどのモノアミン性神経伝達物質の活性低下によるとする、モノアミン仮説に基づいて開発された。
 イミプラミンなどの三環系抗うつ薬(TCA)は、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害作用をもち、強い効果が期待できるが、ヒスタミンやアセチルコリンなど他の受容体も遮断してしまうため、口渇や尿閉などの抗コリン作用のほか心毒性などのさまざまな副作用を伴う。ミアンセリンやマプロチリンなどの四環系抗うつ薬は、TCAの副作用を弱めるために開発されたが、副作用はいくらか弱くなったものの、抗うつ効果も減弱してしまった。
 安全面と治療域を広げるために新たにSSRI、そしてSNRIが開発された。SSRIは、選択的にセロトニンの再取り込みを阻害し、抗コリン作用および心毒性などの副作用は弱いものとなったが、効果はTCAを上回らず、重症例には適さない。代表的薬剤に、フルボキサミンやパロキセチンおよびセルトラリンがある。SNRIは、セロトニンとノルアドレナリンの両方の再取り込みを阻害するため、SSRIの効果に加え意欲向上の効果が期待できるものとなった。代表的薬剤にミルナシプランなどがある。
 NaSSAは、SSRIやSNRIとは異なる作用機序(セロトニンとノルアドレナリンの放出を促進する)によって抗うつ効果を発揮する。SSRIやSNRIでときに問題となる胃腸症状や性機能障害が現れにくいという特徴をもつ。NaSSAに該当する薬剤にはミルタザピンがある。
 抗うつ薬に即効性はなく、効果発現までに2週間程度かかる。このため、患者の症状に応じて抗不安薬や睡眠薬などを併用する場合がある。薬剤は少量から漸増させ、副作用の発現に注意しながら、原則的には症状改善まで増量していく。症状消失後にすぐに投与を中止すると再燃する場合が多いため、寛解後も投与を続け、経過に応じてゆるやかに漸減していく。
 抗うつ薬は急性期の治療以外に、寛解維持期の継続療法や維持療法にも用いられる。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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