不与解由状(読み)ふよげゆじょう

精選版 日本国語大辞典 「不与解由状」の意味・読み・例文・類語

ふよ‐げゆじょう‥ゲユジャウ【不与解由状】

  1. 〘 名詞 〙 平安時代国司などの交替に際して作成される文書新司が、その任期中の官物の欠負未納を弁済することのできない前司に対して、解由状を与えることができない旨を記し、新旧両司署名した上、前司に交付した。この文書がなければ前司は帰京できなかった。不与状。〔広隆寺文書‐貞観一五年(873)広隆寺資財帳〕

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「不与解由状」の解説

不与解由状
ふよげゆじょう

官人の交替に際し,後任国司の監査の結果,前任国司に解由状を発給できない場合に作成される文書。官物や施設備品などの欠負未納,無実破損などの勘出項目とその理由,それに対する前任者と後任者の主張を記載し,共署する。初見は800年(延暦19)9月12日の官符であるが,上述の形式が整い,勘判の資料として機能する制度的な成立は807年(大同2)4月6日の官符によるとされる。

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世界大百科事典(旧版)内の不与解由状の言及

【勘解由使】より

…その間,国司交替の際に解由状を発給するか否かをめぐるトラブルが増大し,正常な交替が行われにくくなった。このため,交替引継ぎにあたって発見された租税未納や,国司管轄下の建造物・兵器その他の破損などを列記し,それについての新旧国司の言い分を記載した不与解由状を作成して太政官に上申し,勘査をうける方式が一般化しつつあった。また解由制度の対象も国司から官人全般に拡大され,あらゆる官人交替にあたって解由状の授受が行われることとなった。…

※「不与解由状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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