不利益変更禁止の原則(読み)ふりえきへんこうきんしのげんそく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「不利益変更禁止の原則」の意味・わかりやすい解説

不利益変更禁止の原則
ふりえきへんこうきんしのげんそく

民事訴訟法では、上訴審が原判決を上訴人の不利益に変更してはならないことをいう。上訴審での口頭弁論は当事者が原判決の変更を求める限度においてだけこれを行い、原判決の変更は不服申立ての限度においてだけこれをすることができるので、原則として、原判決を上訴人の不利益に変更することはできない。

 刑事訴訟法では、被告人が上訴をし、または被告人のために上訴をした事件について、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできないことをいう(刑事訴訟法402条、414条)。検察官控訴をした事件は、その申立て理由が被告人に利益なものである場合でも、「被告人のため控訴した事件」にあたらないとされている。刑の軽重については、宣告刑の実質的な軽重が問題とされる。たとえば、禁錮10か月を懲役8か月に変更しても不利益変更にはあたらず、また、懲役1年を懲役1年6か月・執行猶予3年に変更しても不利益変更にはあたらないとされている。また、差戻し後の第一審判決は、破棄された前判決との関係においてもこの原則に従うものとされている。なお、再審においても、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない(同法452条)。

[内田一郎・田口守一]

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