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控訴 こうそappeal; Berufung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

控訴
こうそ
appeal; Berufung

第1審の終局判決に対する第2審への上訴訴に関しては三つの制度がある。第1の覆審主義は第1審と無関係に新たに審理をやり直すもので,いわば「第2の第1審」といってよい。第2の続審主義は第1審の審理を続行するものであり,日本の民事訴訟法はこれを採用している。第3の事後審主義は,原判決を事後的に審査するものであり,現行刑事訴訟法はこれを採用している。このような性質上,刑事事件の控訴については,控訴申立書のほかに控訴趣意書の提出が必要であり,審理に使用される資料の範囲も原則として第1審で取り調べられ,または取り調べが請求された証拠にかぎられる。民事訴訟では,簡易裁判所の判決に対しては地方裁判所に,地方裁判所の判決に対しては高等裁判所に控訴がなされるのに対し,刑事訴訟では控訴裁判所は常に高等裁判所である。

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百科事典マイペディアの解説

控訴【こうそ】

上訴の一種で,第一審判決に対する不服の申立て(新民事訴訟法281条以下,刑事訴訟法372条以下)。控訴裁判所は,民事訴訟では,第一審が簡易裁判所のときは地方裁判所,第一審が地方裁判所のときは高等裁判所であるが,刑事訴訟では,常に高等裁判所である。
→関連項目控訴院高等検察庁差戻し三審制度事実審召喚上告跳躍上告判決反訴法律審

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世界大百科事典 第2版の解説

こうそ【控訴】

第一審判決に対して,上級裁判所になされる上訴。ただし第一審判決に対する上訴として,例外的に跳躍上告がなされることがあるし,また高等裁判所が第一審として下した判決(例えば独占禁止法85条,特許法178条,裁判所法16条4号等)に対しては,最高裁判所に上告することしかできない。
【民事訴訟における控訴】
 第一審の終局判決に対する,第2の事実審への上訴である。第一審でなされた,事件の審判を完結する判決(終局判決)に対してのみ許され(民事訴訟法281条1項),中間判決等の中間的裁判に対しては独立の控訴はできない。

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大辞林 第三版の解説

こうそ【控訴】

( 名 ) スル
第一審の判決に不服のあるものが上級裁判所に審理のやり直しを求める訴訟手続き。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

控訴
こうそ

訴訟法上、未確定の裁判について、上級裁判所にその再審査を求める不服申立てである上訴の一種。[本間義信]

民事訴訟における控訴

第一審の終局判決に対する上訴をいう。第一審で不利益な判決を受けた当事者が、これを不服として上級裁判所(控訴裁判所)に、その取消しを求めて行う。ここでいう不服とは、判決主文中の判断(したがって請求についての判断)に対するものでなければならず、したがって、判決の理由のみに不服がある場合には控訴できない。また、主観的に不服があるというだけでは控訴できず、裁判所に要求したもの(本案の申立て)とそれに対する判決とを比較して、後者が前者より当事者にとって不利益であるときに、不服が認められる(形式的不服)。
 控訴審では、第一審判決の当否を、事実認定と法律適用の両面で審理し、事件を再審理する。事実審理をする点で事実審といわれる(法律審たる上告とは異なる)。事実審理については、控訴審は第一審での訴訟資料を基礎としながら(したがって、当事者は第一審における口頭弁論の結果を陳述し、第一審においてなした訴訟行為は、控訴審においても効力を有する――民事訴訟法296条2項・298条1項)、さらに新たな資料も加えて(攻撃防御方法の提出等は、裁判所の定める期間内にせねばならず、これを経過してから訴訟行為をする当事者は、裁判所に対し、その理由を説明しなければならない)第一審判決の当否を審査する(これを続審主義という)。控訴審で原判決を変更する場合には、不服申立ての限度においてのみ、これをなすことができ、控訴人にとって原判決以上に不利な判決をなすことができない(同法304条――不利益変更禁止の原則という)。したがって、口頭弁論も不服申立ての限度で行われる(同法296条1項)。原告・被告双方から控訴がなされれば、不利益変更禁止の原則は適用されない。
 控訴裁判所は、簡易裁判所の判決に対しては地方裁判所、地方裁判所の判決に対しては高等裁判所である。控訴は、判決の当事者への送達より2週間以内に、控訴状を原裁判所(第一審裁判所)へ提出することによって行う。控訴が不適法でその不備を補正できないことが明らかな場合(たとえば控訴期間が過ぎてから提起された控訴)には、第一審裁判所は、決定で、控訴を却下しなければならない。また、控訴が不適法でその不備を補正できないときは、控訴裁判所が、口頭弁論を経ないで、判決で、控訴を却下できる。期日の呼出しに必要な費用の予納を命じたのにそれがない場合は、控訴裁判所は、決定で、控訴を却下することができる。控訴の提起の効果として、原判決の確定が遮断され、当該事件について控訴審への移審の効力が生ずる。これらの効果は原判決全部について生ずる。
 原判決の言渡し後であれば、当事者は控訴権を放棄できるし、控訴提起後も、控訴審の終局判決の言渡しまでは、いつでも控訴の取下げが可能である。当事者双方が口頭弁論期日あるいは弁論準備手続期日に欠席した場合、もしくは、出席はしたが何も述べないで帰った場合で1か月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなされる。当事者双方が連続して2回同様のことをしたときも同じ扱いになる(民事訴訟法292条2項・263条)。控訴期間内に取り下げられた場合には、期間内に再度控訴の提起が可能であるが、控訴期間内に控訴の申立てをしない、あるいは、その後に取り下げられた場合には、原判決(第一審判決)が確定することになる。[本間義信]

刑事訴訟における控訴

第一審判決に対する上訴をいう。控訴の提起は、検察官、被告人いずれの側からもできるが、第一審判決に法で定める瑕疵(かし)(裁判のやり方に法律が定める手続違反、法律の解釈適用の誤り、事実誤認があるなどの控訴理由。刑事訴訟法377条~384条)があることを主張し、その破棄を求めることが必要である。
 刑事訴訟の控訴審は、第一審で提出された訴訟資料を基礎として、原判決の内容の当否を審査する事後審制を採用している。しかし、事実誤認、刑の量定不当も控訴理由となっていること(刑事訴訟法381条・382条)から、新事実、新証拠の取調べも認められている(同法393条)ので、修正された事後審制といえよう。また、刑事訴訟においても、不利益変更禁止の原則が認められている(同法402条)。
 控訴裁判所は、簡易裁判所、地方裁判所、家庭裁判所のいずれの判決に対しても高等裁判所である。控訴は、裁判告知の日から14日以内に申立書を第一審裁判所に提出して行う。
 検察官または被告人等は控訴の放棄・取下げを原則としてすることができる(死刑、無期の懲役または禁固の判決に対する控訴は放棄できない)。この場合は、さらに控訴することができない。[本間義信]

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