上訴(読み)じょうそ(英語表記)appeal; Rechtsmittel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

上訴
じょうそ
appeal; Rechtsmittel

裁判の確定前にその適法性または妥当性について上級裁判所に対し再審査を求める不服申立て方法。裁判官の判断は常に正しいとは考えられないから,裁判により不利益を受けた当事者に対して別の裁判官の裁判を受ける機会を与える必要がある。この目的のために下級裁判所の裁判を受けた当事者に上級裁判所の裁判を受けることを認めるのが上訴制度である。上訴の提起によって裁判の確定が遮断され事件が上級審移審する。上訴によって裁判に不服のある当事者の救済をはかるとともに,当事者の不服申立てを契機として最上級の裁判所は,各下級裁判所においてまちまちである法令解釈の統一をはかることができる。上訴には控訴上告抗告の3種がある。

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知恵蔵の解説

上訴

裁判が確定する前に、上級裁判所にその取り消しまたは変更を求める不服申し立て方法。上訴によって原判決の確定は停止され、事件は上級裁判所に移る。確定後の裁判に対する不服申し立て方法である再審とは異なる。上訴制度の役割は誤判救済と法令解釈の統一で、原則として3審制がとられており、第1審判決に対する事実審への控訴と、控訴審判決に対する法律審への上告が認められている。上告審は刑事裁判では最高裁判所、民事裁判では最高裁と高等裁判所であり、民事裁判の場合、上告理由は憲法違反等に限られ、法令・判例違反のときには上告受理の申し立てができる。下級裁判所の決定・命令に対する独立の上訴方法として抗告があり、裁判官の忌避の申し立て却下に対する即時抗告などがよく用いられる。

(土井真一 京都大学大学院教授 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

上訴【じょうそ】

裁判の確定前に上級裁判所へその取消し・変更を求める不服申立方法。誤判を防止し,同種事項に関する法令解釈の統一を図るのが目的。控訴上告抗告の3種がある。民事・刑事の判決については第一審の上に原則として控訴・上告の二つの上訴を重ねる三審制度がとられている(ただし民事事件に関しては,1996年制定の新民事訴訟法により上告に制限が加えられた)。判決以外の裁判(決定命令)に対しては抗告が許される。
→関連項目仮執行宣言却下終局判決少額訴訟手続

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とっさの日本語便利帳の解説

上訴

未確定の裁判について、上級裁判所へその再審理を求める不服申立方法。控訴・上告・抗告の三種類がある。これにより裁判の確定が妨げられ、事件は上級審に係属する。

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世界大百科事典 第2版の解説

じょうそ【上訴】

裁判に不服のある者が,その裁判が確定する前に,より上級の裁判所にその取消しまたは変更を求めるために行う申立てをいう。再審や,刑事訴訟における非常上告のように,裁判確定後に申し立てるものは,裁判修正の手段ではあっても,上訴と区別して考えられている。
[上訴の役割]
 上訴制度は,歴史的に,二つの大きな役割を担ってきた。その一つは,裁判の誤りを是正する役割である。観念的にいえば,第一審の裁判所の構成や訴訟手続を誤りの生じる余地のない理想的なものにすれば,上訴制度は無用のはずである。

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大辞林 第三版の解説

じょうそ【上訴】

( 名 ) スル
未確定の裁判について、その判決または決定に対する不服を上級裁判所に申し立て、その取り消しを求めること。現行法では、控訴・上告・抗告の三種類がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

上訴
じょうそ

裁判の確定前に、その裁判に不服が生じた場合、上級裁判所に対して行う裁判の取消しまたは変更を求める申立てのこと。[内田一郎]

刑事訴訟における上訴

未確定の裁判に関する上級裁判所の救済的裁判の請求をいい、具体的には控訴、上告、抗告をいう。上訴権者、上訴期間は法定されている。上訴をするには上訴の利益がなければならない。さらに、現行法は、上訴は、法定の理由のある場合に限ってこれを認めている。控訴申立て理由としては、絶対的控訴理由としての訴訟手続の法令違反、相対的控訴理由としての訴訟手続の法令違反のほか、法令の適用の誤り、量刑不当、事実の誤認、判決後の事情の変更などがあり、上告申立ての理由としては、憲法違反または憲法解釈の誤り、最高裁判所の判例と相反する判断をしたことなどがある。抗告は、とくに即時抗告をすることができる旨の規定がある場合のほか、裁判所のした決定に対してこれをすることができる。ただし、刑事訴訟法に特別の定めのある場合(420条1項、427条、428条1項)はこの限りでない。適法の上訴があれば、同一訴訟は引き続き上級裁判所に係属し(移審の効力)、控訴、上告および即時抗告は、裁判の確定力を停止すると同時にその執行力をも停止させる。即時抗告以外の抗告は、決定をもって執行を停止しない限り、執行停止の効力を生じない。上訴の放棄・取下権者も法定されている。死刑または無期の懲役もしくは禁錮に処する判決に対する上訴は、これを放棄することができない。上訴の放棄または取下げをした者は再上訴することができない。[内田一郎]

民事訴訟における上訴

民事訴訟の上訴とは、自己に不利益な未確定の裁判について、有利に取消しまたは変更を求めるため、原則として当該訴訟の当事者から上級裁判所に提起する不服申立ての方法をいう。上訴の提起があると、その事件を上級審に係属させる「移審の効力」と、不服を申し立てた裁判の確定を遮断し、かつ執行力の発生を止める「停止の効力」とを生ずる。そして原審の訴訟手続の続行として、裁判の当否を判断するために上級裁判所において審理裁判が行われる。
 上訴は、以上のような性格から次のような諸手続とは区別される。すなわち、再審の訴え(民事訴訟法338条)は判決の取消しまたは変更を求めるための不服申立てである点で上訴と共通点を有するが、その対象が確定判決であるので上訴ではない。同様に、決定・命令に対する再審の申立て(同法349条)も上訴ではない。除権決定に対するその取消しの申立て(非訟事件手続法108条)や仲裁判断取消しの申立て(仲裁法44条)は、申立て事件とは別個に、裁判だけの取消しを求める不服申立てであるから、上級裁判所が原裁判の当否について判断する上訴とは異なる。また、裁判に対する不服申立てが、その裁判をした原裁判所でなされる場合には、その不服申立て(異議)は上訴ではない(たとえば民事訴訟法357条、367条2項、386条2項、390条、393条など)。
 上訴には、控訴、上告、抗告の3種がある。裁判機関に上級審、下級審の区別を設けて、下級裁判所の裁判に対して上訴を許すのは、反覆して審理を行うことによって、当事者の権利保護が適正に行われることを保証し、また当事者に審理の充足による満足感を与えるためである。ことに上告制度(民事訴訟法311条以下)、再抗告制度(同法330条)においては、法規の解釈適用を統一することにも目的がある。[内田武吉・加藤哲夫]

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精選版 日本国語大辞典の解説

じょう‐そ ジャウ‥【上訴】

〘名〙
① 上にうったえること。皇帝などに苦痛不満を申しのべること。〔班固‐東都賦〕
② 令制で、訴人原告)が敗訴して判決に承服しないとき、判決文の他に不理状を請求してその裁決を上級の官司に求めることをいう。
※令義解(718)公式「断訖訴人不服。欲上訴者。請不理状
③ 民事または刑事の判決、または決定に対する不服を、一定の期間内に上級裁判所に申し立てて、その取消しを求める訴訟。控訴・上告・抗告の三種類がある。〔仏和法律字彙(1886)〕

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