改訂新版 世界大百科事典 「不動産執行」の意味・わかりやすい解説
不動産執行 (ふどうさんしっこう)
金銭債権の満足のために債務者所有の不動産に対して行う強制執行。その不動産を売却して代金を債権者に配当する強制競売と,裁判所が選任する管理人がその不動産を管理し,収益を債権者に配当する強制管理の2種類があり,どちらの方法で行うかは執行を申し立てる債権者が選択する(民事執行法43条)。強制管理は債務者の有するアパート等,継続的に収益を生ずる不動産について行われることが多い。強制競売の手続は,強制競売開始決定により始まり,執行官が入札,競り売りその他の方法でこれを売却し,その代金を債権者の満足にあてることによって終わる。競売物件は広く一般の人がだれでも買い受けることができる(66,68条)。強制管理の手続は,強制管理開始決定と同時に選任される強制管理人によって進められる。強制管理人は不動産の賃料その他の収益を収取し,これを債権者に配当する(94,95条)。
執筆者:青山 善充
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報