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金銭債権 きんせんさいけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

金銭債権
きんせんさいけん

一定額の金銭支払い目的とする債権 (民法 402条1項前段) 。たとえば売買,賃貸借,金銭消費貸借などの契約により生じる代金,賃料,貸金債権や,不法行為による損害賠償債権などはいずれも原則として金銭債権である。一定額の金銭 (通貨であれば種類は問わない) の支払いで足り,封金の寄託や収集目的での一定種の紙幣の取引の場合など給付目的物の「金銭」が限定される債権とは区別される (402条1項後段) 。金銭債権は典型的な種類債権であり,履行不能はありえない。なお迅速,定型的な取引処理のため,その債務不履行の損害賠償について損害賠償の額を,特約がないかぎり法定利率によるなど,特別の規定が設けられている (419条) 。

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百科事典マイペディアの解説

金銭債権【きんせんさいけん】

金銭の給付を内容とする債権(民法402条)。金額に重きをおき,特定の貨幣を目的とするものでない。強制通貨で支払われる。その不履行(履行不能はなく,履行遅滞のみ)は,不可抗力による場合でも,債務者に責任があり,またその損害賠償額は法定利息(約定利息のほうが高ければその約定利率)による。金銭給付を目的としない債権も債務不履行により損害賠償請求権としての金銭債権に転化する。債務者保護のために,利息制限法,質屋営業法などが制定されている。
→関連項目仮差押え競売金約款国税徴収法差押え直接強制

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世界大百科事典 第2版の解説

きんせんさいけん【金銭債権】

売買契約で買主が代金を支払う,金銭消費貸借で借主元本や利息を支払う,借地・借家契約で借地人,借家人地代,家賃を支払うというように,金銭を支払うべき債務(したがって逆の立場からみれば金銭の支払いを請求しうる権利)は,きわめてひんぱんに発生する。これらを総称して,金銭債務,金銭債権ということができる。債権の種類は物権のように法定されていないので,さまざまな債権が存在するが,数多い債権の中でも,金銭債権は最も多く発生する類の債権といえよう。

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大辞林 第三版の解説

きんせんさいけん【金銭債権】

金銭の給付を目的とする債権。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

金銭債権
きんせんさいけん

広義には金銭の給付を目的とする債権をいう。通常は一定額の金銭の給付を目的とする債権、すなわち金額債権をさす。各種債権のうちでもっとも代表的なものであると同時に、経済的にも重要な意味をもっている。たとえば、売買契約で買い主が代金を支払うとか、借地人が契約に基づいて地代を支払うとか、金銭貸借で借り主が元本や利息を支払うなど、金銭を支払うべき債務は、日常的にもしばしば発生している。
 金銭債権は、一種の種類債権(一定の種類に属する物の一定の給付を目的とする債権)ともいえるが、100万円の債権は100万円の価値(金額)が重要で、1万円札で100枚、5千円札で200枚という通貨の種類は二次的な意義しかもたないから、通常の種類債権とは異なっている。また、展示会などに陳列するための金貨、コインなど特定の金銭を貸借するような場合は金銭債権には含まれない。特定の種類の通貨(たとえば1万円紙幣や100ドル紙幣)で支払うという特約のある場合(金種債権とよばれる)でも、その通貨が強制通用力を失ったときには、他の通貨で弁済ができ、履行不能とはならない(民法402条2項・592条)。
 このように、通貨の種類が特定されていない金額だけで示された金銭債権(金額債権)は、強制通用力のある貨幣ならば、任意の種類の貨幣で支払う(弁済する)ことができる(同法402条1項)。
 金銭債権については、債務不履行の要件および損害賠償について特則が定められている(同法419条)。すなわち、金銭債権の不履行は不可抗力による場合でも債務者に責任があり、債務者が不可抗力によるものであることを証明しても免責されない(同法419条3項)。債権者は不履行によって損害を受けたことを証明する必要がなく請求できる(同法419条2項)。ただし、損害賠償の額については法定利率(約定利率が法定利率より高いときは約定利率)による(同法419条1項)。
 なお、金銭債権に関して、民法のほか、利息制限法、質屋営業法、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」、「貸金業法」などが制定されており、債務者の保護が図られている。また、金銭はほぼ恒常的な価値をもっていると考えられるが、急激な貨幣価値の変動の際には、事情変更の原則に基づき債権の内容である名目上の金額を増減する必要が生じる。借家法、借地法などにはこれが取り入れられている。[川井 健]

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