不良債権処理

共同通信ニュース用語解説 「不良債権処理」の解説

不良債権処理

利息の支払いや返済が滞っている融資について、銀行が貸し倒れに備えて引当金を積んだり、回収を断念して損失として処理したりすること。銀行の利益が減る要因になる。景気が悪くなると業績不振の企業が増えるため、処理費用も増加する。1990年代前半のバブル経済崩壊で銀行が多額の不良債権を抱え、新規融資に消極的になったことが、日本経済が長期低迷に陥る原因の一つとなった。

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知恵蔵 「不良債権処理」の解説

不良債権処理(アジアの)

通貨危機の際、東アジア各国では深刻な不良債権問題が生じた。銀行部門の総貸出残高に対する不良債権の比率は、タイ8.2%(2006年6月末)、フィリピン7.4%(同5月末)、インドネシア8.8%(同5月末)、マレーシア5.4%(同7月末)、韓国1.2%(同3月末)となっている。資産管理会社(AMC:asset management company)への売却等により処理は進んだが、国によってその度合いは違う。タイやマレーシアなどでは、会計基準上、返済猶予・金利減免などを合意した貸付債権正常債権として認識されるため、金融機関が引当負担の軽減を図るために、融資条件の緩和に安易に応じる傾向があるともいわれる。債権放棄・売却といった根本的な処理が必要であるが、この点、韓国資産管理公社が、直接回収や競売の他、資産担保証券(ABS)発行を手がけたのが注目される。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

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