世に経(読み)ヨニフ

デジタル大辞泉 「世に経」の意味・読み・例文・類語

に◦

この世に生き長らえる。
「花の色はうつりにけりないたづら我が身―◦経るながめせしまに」〈古今・春下〉
出家の身ではなく、俗人として暮らす。
「わが身も―◦ふる様ならず、跡絶えて止みなばや」〈・若菜下〉
男女の情を解する。
「ねになけば人笑へなりくれ竹の―◦へぬをだにかちぬと思はむ」〈後撰・恋五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「世に経」の意味・読み・例文・類語

よ【世】 に 経(ふ)

  1. この世に生きながらえる。この世を暮らし過ごす。
    1. [初出の実例]「花の色はうつりにけりないたづらに我身世にふるながめせしまに〈小野小町〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春下・一一三)
  2. 俗世にあって暮らす。出家の身ではなく俗人として世をおくる。
    1. [初出の実例]「人の物いひなどもうたてあり、なほよにへじとおもひ言ひて失せにけり」(出典:大和物語(947‐957頃)一〇五)
  3. 世ごころがつく。男女の情を解する。世を経(ふ)
    1. [初出の実例]「なびく方有けるものをなよ竹の世にへぬものと思ひける哉〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋五・九〇六)

世に経の補助注記

の「古今‐春下」の用例は、「世に旧る」と解する説もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android