日本大百科全書(ニッポニカ) 「世界競争力ランキング」の意味・わかりやすい解説
世界競争力ランキング
せかいきょうそうりょくらんきんぐ
World Competitiveness Ranking
スイスの著名ビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD:International Institute for Management Development、本部ローザンヌ)が毎年公表する、国・地域の国際的な競争力についての格づけ。IMDランキングともよばれる。世界の主要63か国・地域を対象に、企業にとってビジネスをしやすい環境がどれほど整っているかを基準に順位をつけ、『世界競争力年報IMD World Competitiveness Yearbook』で発表している。経済力、物価、雇用、対内投資などの「経済状況」、財政状況、法人税率、ビジネス法制度、公的機関の対外開放度などの「政府の効率性」、経営者の意識、金融環境、労働市場、文化の閉鎖性などの「ビジネスの効率性」、基礎インフラ、科学インフラ、外国語能力、通信費などの「インフラ」の計333項目について調査している。このうち3分の2は統計データで、残る3分の1は各国の経営者層へのアンケート調査に基づいている。世界各国の政府や主要企業が活用しており、経営者や研究者らの関心度が高いことで知られている。なお、日本での調査協力は、統計データについては三菱総合研究所が、アンケート調査については経済同友会が行っている。日本は1989年(平成1)から1992年まで首位であったが、バブル崩壊後の金融システム不安が表面化した1997年に17位に急落して以降、じりじりと順位を下げ、2019年(令和1)以降は30位台で推移している。2022年のランキングで、日本は34位。首位はデンマーク、2位はスイス、3位はシンガポールで、日本は中国(17位)、韓国(27位)、マレーシア(32位)、タイ(33位)より下位である。
[矢野 武 2023年2月16日]