日本大百科全書(ニッポニカ) 「中南」の意味・わかりやすい解説
中南
ちゅうなん / チョンナン
中国、中南部の地区名。もともとは軍事的地域区分であったようだが、のちには経済協力区の名称としても用いられるようになり、現在も行政・経済上の広域的地域単位となっている。河南、湖北、湖南、広東(カントン)・海南の5省と広西チワン族自治区がその範囲に含まれる。京広(けいこう)鉄道とそれから分岐する湘桂(しょうけい)鉄道によって結ばれる一級行政区が河北省以外はすべて包含されている。自然地域としては黄河流域、長江(ちょうこう/チャンチヤン)(揚子江(ようすこう))流域の各一部分と、珠江(しゅこう/チューチヤン)流域の大部分が含まれるが、黄河流域の河南省を包含したのは石炭資源の供給が一つの理由と推測される。気候も農産物も多様であり、畑作も水稲作もみられ、単一の経済地域単元とするのは困難で、むしろ多様な地域の相互協力をねらった地域編成とみるべきであろう。
[河野通博]