改訂新版 世界大百科事典 「中央研究院」の意味・わかりやすい解説
中央研究院 (ちゅうおうけんきゅういん)
Zhōng yáng yán jiū yuàn
中華民国の最高研究機関。中国科学院の前身。英名はAcademia Sinica。1928年6月に,中華民国大学院中央研究院を母体として創立された。初代院長は蔡元培。初め物理,化学,天文,気象,地質,工程(土木建築),社会科学,歴史語言の8研究所で発足し,のち心理,動物,植物,数学,医学等の研究所が増設された。北伐成功後の国民政府による研究体制確立の中心的機構として重視され,その期待にこたえて北洋軍閥の支配時期に比べれば格段の成果をあげたが,日中戦争のため発展の道を閉ざされた。新中国成立に際し歴史語言,数学研究所のように国民政府とともに渡台したものと,社会科学,地質研究所のように渡台しなかったものに分かれた。現在,台湾の中央研究院は近代史研究所なども増設されている。
執筆者:狭間 直樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報