日本大百科全書(ニッポニカ) 「中国科学院」の意味・わかりやすい解説
中国科学院
ちゅうごくかがくいん
中華人民共和国の科学アカデミー。国際的にはアカデミア・シニカAcademia Sinicaとよばれる。1949年11月、国民政府の中央研究院・北平研究院を接収し、新たな研究分野を付け加えて発足した。初代院長は郭沫若(かくまつじゃく)。2005年現在、数学、物理、化学、地学、天文学、生物学、技術、科学史、情報科学技術などの分野にわたる「数学物理学部」「化学部」「生命科学および医学部」「地学部」「情報技術科学部」「技術科学部」の6学部のもとに、140以上の研究機関(農学、医学は別組織)があり、研究者養成機関として合肥(ごうひ)市(安徽(あんき)省)に中国科学技術大学(研究生院は北京(ペキン)市)をもち、天文台、動植物園、科学儀器廠(しょう)、図書館、出版社、印刷廠などの施設も有している。本院は北京市西城区にあり、比較的機関が集中している上海(シャンハイ)、南京(ナンキン)、西安、蘭州(らんしゅう)、ウルムチなど全国の13か所に分院がある。
職員総数は9万人、うち専門技術員は約6万人余で、専任の研究員のほか、大学その他の機関に所属する優秀な学者たちも参加させて、年間に5000件以上の研究を行っているほか、国内・国外の科学・技術に関する情報の収集と普及にもあたっている。事業運営は全国の科学者・研究者から2年に一度選出される院士の大会で決定される。2005年現在の院士数は1027人(故人を含む累計)。院長は、1997年より路甬祥(ろようしょう/ルーヨンシャン)(1942― )。
機関誌『科学週報』などの出版物は直属の科学出版社や、提携している各出版社から出版されている。
[宮島一彦]
『中国大百科全書出版社編・刊『中国大百科全書』(中国語・1998)』