朝日日本歴史人物事典 「中山富三郎」の解説
中山富三郎(初代)
生年:宝暦10(1760)
江戸中・後期の歌舞伎役者。俳名錦車,屋号近江屋。江戸の敵役役者初代市川幾蔵の子。上方で初代中山文七の門人として活動を始める。安永9(1780)年父と共に江戸へ下り,その後は江戸の若女形として出世していった。文化4(1807)年には久々に上方へ上り,以後は東西で人気を博した。このころ4代目松本幸四郎の門人となっている。愛嬌があって世話物を得意とし,その身のこなしから「ぐにゃ富」という愛称で呼ばれた。一時期実子が2代目富三郎を継いでいたが,その後3代目市川寿美蔵と改名した。
(池山晃)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報