ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルイ17世」の意味・わかりやすい解説
ルイ17世
ルイじゅうななせい
Louis XVII
[没]1795.6.8. パリ
名目上のフランス王(在位 1793~95),ノルマンディー公(在位 1789~93)。フランス王ルイ16世と王妃マリ・アントアネットの二男。洗礼名ルイ・シャルル。ノルマンディー公の爵位を得ていたが,フランス革命勃発直後の 1789年6月に当時 8歳の兄ルイ・ジョゼフが死亡したためフランス王太子(王位継承者)になった。1792年8月の民衆蜂起で王権が停止されたのをうけて,ほかの王族とともにパリのタンプル塔に幽閉された。1793年1月にルイ16世が斬首刑に処されるとただちに亡命貴族によって新しいフランス王であると宣言された。フランスはオーストリア,プロイセンと戦争中であったため,ルイ17世は革命政府とその交戦相手の間の貴重な取り引き材料となった。1793年7月,母マリ・アントアネットのもとから連れ去られ,靴職人アントアーヌ・シモンに預けられた。1793年10月マリ・アントアネットが処刑されると,1794年1月再びタンプル塔に幽閉され,その厳しい環境下,健康状態が急激に悪化,頸部リンパ節結核で死亡した。ルイ17世の死は,政治勢力として再起した立憲君主派にとって大きな打撃となった。最期の日々が不明だったことから噂が飛び交い,その後数十年にわたってルイ17世を自称する人物が 30人以上現れた。1999年後半,ルイ17世のものと称して保存されていた心臓の DNA鑑定が行なわれ,2000年4月,幽閉中に死亡した男児が本当にルイ17世であると発表された。
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