朝日日本歴史人物事典 「中村春二」の解説
中村春二
生年:明治10.3.31(1877)
明治大正期の教育者。歌人中村秋香 と母清子の次男として東京に生まれ,早くから詩歌や絵を学ぶ。東京帝大国文科を卒業し,曹洞宗第一中学林等で教鞭をとる。明治39(1906)年に友人今村繁三の協力で学生塾(翌年,成蹊園と命名。現,成蹊学園)を創設。すぐに岩崎小弥太も援助者となる。やがて私学の必要を痛感し,44年に家塾風な実務学校を,続いて中学校,小学校,専門学校,女学校を順に開設していく。独得な東洋的理念と方法をうちたて,師弟の「心の触れ合い」による「真剣な気分」の育成を教育精神とした。個性教育,人物教育を掲げて鍛練主義,実力主義,作業主義,少人数主義を採り,不言実行の「真」教育を目ざす。特に心操の法「凝念」と「心の力」の朗唱は注目を集める。日ごろ「教え子はこれ神なりと思え,ゆめおろそかに扱うべからず」と戒めていた。<著作>『教育一夕話』『導く人の為めに』『かながきのすすめ』<参考文献>小林一郎編『中村春二選集』,中村浩著『人間中村春二伝』
(稲垣友美)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報