改訂新版 世界大百科事典 「主観確率」の意味・わかりやすい解説
主観確率 (しゅかんかくりつ)
subjective probability
事象の生起の不確実性の程度を主観を混ぜて評価した確率。主観的確率ともいう。ある事象の主観確率が評価した個人に依存せず共通であれば,それは客観(的)確率とよばれる。したがって,正しいさいころの各目の確率が1/6というのは客観確率である。正しくないさいころの各目の確率は,評価する主体により異なるので主観確率である。たとえば,このさいころを1000回投げ,各目の出現回数を情報として再評価された各目の確率も,主体により異なるので依然として主観確率であるが,はじめの確率よりも主観性が減少している。主観性(あるいは客観性)の程度は,確率を評価する主体および彼にとって利用可能な情報の量と質に依存する。主観確率の評価と表明は,例えば天気予報のように,情報の伝達に有用であるとともに,意思決定を合理的に行うためにきわめて重要である。通常は効用関数も評価して,期待効用最大化という原理に基づいて,最適の決定が選択される。
→確率
執筆者:鈴木 雪夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報