翻訳|object
明治初期の新造語で、現在では「きゃっかん」と読む人が多いが、明治二九年(一八九六)の「日本大辞典」や同四〇年の「辞林」に「かくくゎん」の見出しで説明されているから、明治期は多く「かっかん」と言われていたと考えられる。
主観の対(つい)概念。「主観―客観」関係は近世哲学の根本的枠組みである。この関係をどうとらえるかによって、客観は異なった意味をもつ。
(1)主観subjectum(ラテン語)が根底に横たわる現実的実在であるのに対し、客観objectumラテンは「前に投げられたもの」として、意識の表象像、意識内容を意味する。たとえばデカルトの「客観的実在性」は意識のうちにある限りでの実在性を意味している。
(2)認識する主観の対象であるが、その存在が個人的主観に依存しないものをいう。しかしあらゆる主観に普遍的に妥当するという意味で、主観との相関関係のうちにある。たとえばフッサールにおいて客観は間(かん)主観的に構成される。
(3)その存在があらゆる主観から端的に独立である実在をいう。客観こそが実在であり、客観の存在が主観における普遍妥当性を可能にする。主観が客観に依存するのである。この「主観―客観」関係は(1)と逆の関係である。
[細川亮一]
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…この〈ヒュポケイメノン〉がラテン語ではsubjectum(下に投げ出されてあるもの)と訳され,〈シュンベベコス〉がaccidens(偶有性)と訳されて,〈基体‐属性〉というこのとらえ方は中世のスコラ哲学や,さらには近代哲学にもそのまま受けつがれてゆくのである。
【主観‐客観と主体‐客体】
〈ヒュポケイメノン〉のラテン訳であるsubjectumという言葉は,スコラ哲学や近代初期の哲学においては,それ自体で存在し,もろもろの作用・性質・状態を担う〈基体〉という意味で使われていた。ホッブズやライプニッツは魂をsubjectumと呼んでいるが,それも感覚を担う基体という意味においてであり,そこには〈主観〉という意味合いはない。…
※「客観」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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