主観能動性(読み)しゅかんのうどうせい(その他表記)zhu guān néng dòng xìng

改訂新版 世界大百科事典 「主観能動性」の意味・わかりやすい解説

主観能動性 (しゅかんのうどうせい)
zhu guān néng dòng xìng

中国で,人間の主観的意識と活動の客観世界に対する反作用をいう。subjective activityあるいはsubjective initiative英訳マルクス主義によれば人間の意識・活動は物質的条件と客観法則に規定されるが,それらへの正確な認識(実践と認識の統一)を通じて,許容される限度のなかで主観的努力すなわち能動性を十分に発揮し,客観世界の改造を促すことができる。この作用の重要性をとくに強調したのは毛沢東で,1938年の論文論持久戦〉(当時は〈自覚的能動性〉と呼んだ)以来,彼の思想哲学の一つの特徴をなし,〈人の要素〉を第一とする革命指導を基礎づけた。58年,大躍進運動が起こると主観能動性の発揮があらためて強調され,中国哲学界でも活発な討論がおこなわれた。だが,現実の政治指導が主観主義化し,物質的条件と客観法則の正確な認識という前提を欠いたため,その一面的な強調はかえって弊害を生む結果となった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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