朝日日本歴史人物事典 「久野正伯」の解説
久野正伯
江戸初期(17世紀)の陶工。古くから瓦の生産地として有名な大坂高津に生まれ,慶安年間(1648~52)には有力な陶工になっていたと伝える。2代土佐(高知)藩主山内忠義の書簡によると,承応2(1653)年に土佐に下り,尾戸焼の基礎を築いたという。また,千宗旦の手紙によると,尾戸焼は正伯が作り,松下長光の手本によって茶道具を作ったとある。経歴は不明な点が多く,のちその事跡は伝説化し,幕末の文人たちがさまざまの憶測を流した。大坂高津の宗念寺に葬られたという。<参考文献>丸山和雄「土佐のやきもの」(『日本やきもの集成』10巻)
(矢部良明)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報