寺島藤右衛門(読み)てらしまとうえもん

改訂新版 世界大百科事典 「寺島藤右衛門」の意味・わかりやすい解説

寺島藤右衛門 (てらしまとうえもん)
生没年:?-1693(元禄6)

御用瓦師寺島家4代。初代三郎左衛門のとき寺島氏を称し,紀州根来(ねごろ)から摂津天王寺に移転,豊臣氏の御用瓦師となる。2代惣左衛門は大坂の陣のとき城内の景況を徳川氏に内通し,戦後4600坪の地を拝領。三男五郎兵衛が家職を継いだが早世し,四男の藤右衛門が継職。1630年(寛永7)瓦土取場として南瓦屋町東北131石余の空地を拝借して瓦屋藤右衛門請地とし,34年地子免除となった。以来,禁裏,院,大坂城二条城水口城のほか,幕府米蔵,神社寺院など上方筋の瓦御用いっさいを,京都の寺島惣左衛門(長兄)と配分担任した。尼崎又右衛門山村与助とともに大坂の三町人と称され,つねに大坂城に出入りし,江戸から到来した奉書を開封言上し,諸役人会合の席には必ず列座して,城代,定番の指揮をうけ諸用を弁じた。6代藤兵衛のほかは代々藤右衛門を称し幕末にいたる。
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朝日日本歴史人物事典 「寺島藤右衛門」の解説

寺島藤右衛門

生年生没年不詳
江戸時代大坂の門閥的特権町人。徳川家に縁故の深かった寺島藤右衛門,尼崎屋又右衛門,山村与助の3人を世に「三町人」と呼ぶ。寺島家は紀伊国(和歌山県)粉河寺島の出身で,寺島姓はこれに由来している。初代三郎左衛門は瓦職を家業とし,豊臣家から瓦の御用を受け,徳川家からも瓦御用を仰せつけられた。2代惣左衛門は元和1(1615)年大坂南瓦屋町に屋敷地を拝領した。3代五郎兵衛ののち,4代藤右衛門のとき,寛永7(1630)年にその屋敷地の東北続きの土地に瓦土取場が与えられた。これを瓦屋藤右衛門請地という。その後明治維新に至るまで,寺島家は瓦専売権の特権を引き続いて所有し,禁裏,大坂城,二条城そのほか多数の神社・仏閣などの瓦御用を勤めた。

(作道洋太郎)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「寺島藤右衛門」の解説

寺島藤右衛門 てらじま-とうえもん

?-1694* 江戸時代前期の商人
瓦師寺島家4代。寛永7年大坂南瓦屋町に瓦土取場として広大な土地をあたえられ,禁裏,二条城,大坂城,神社,寺院などの瓦御用をつとめた。寒天(かんてん)の尼崎屋又右衛門,大工の山村与助とともに大坂三町人と称された。元禄(げんろく)6年12月26日死去。名は紹真。

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