日本大百科全書(ニッポニカ) 「九華山」の意味・わかりやすい解説
九華山
きゅうかざん / チウコンシャン
中国、安徽(あんき/アンホイ)省青陽県の南西にある地蔵菩薩(じぞうぼさつ)の霊場。観音(かんのん)の普陀洛山(ふだらくさん)、普賢(ふげん)の峨眉山(がびさん)、文殊(もんじゅ)の五台山(ごだいさん)とともに四大名山の一つとされる。古くは九子山(きゅうしざん)といわれたが、唐代の詩人の李白(りはく)によって九華山と改称された。そのため山中に李白書堂の基址(きし)があったという。九つの峰がそびえ立ち、奇岩、怪石、渓流の奇勝に恵まれている。山麓(さんろく)には化城(けじょう)寺、祇園(ぎおん)寺、九子寺などがあり、地蔵信仰の霊場として参拝者が多い。また明(みん)の王陽明(おうようめい)(王守仁(おうしゅじん))が「致良知(ちりょうち)」の理を悟得した所としても有名である。
[鎌田茂雄]