乱流境界層(読み)ランリュウキョウカイソウ

化学辞典 第2版 「乱流境界層」の解説

乱流境界層
ランリュウキョウカイソウ
turbulent sublayer

物体のまわりの流れにおいて,レイノルズ数が比較的大きな場合には,粘性の影響は物体の表面近傍(境界層)においてのみ顕著で,それより外側の流れは理想流体(流速 u0)の流れでほぼ近似できる.この境界層内で流体速度uは急変し,物体表面では0となる.この層内での流れが層流のとき層流境界層といい,層内の流れが乱流になったとき,乱流境界層という.この乱流境界層でも,物体に接した部分にはきわめて薄い層流の層が残っており,これを層流底層または境膜とよんでいる.なお,境界層,とくに層流底層の厚みは,流れが物体に与える抗力だけでなく,物体と流体間の熱移動,物質移動の速度に対しても重要な因子である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の乱流境界層の言及

【境界層】より

…遷移は剝離以外にも主流の乱れ,境界の突起や粗さ,圧力上昇など多くの要因が引金となって引き起こされ,その過程もきわめて複雑である。乱流
[乱流境界層]
 乱れた境界層は,乱れのない層流境界層に対比して乱流境界層と呼ばれる。乱流境界層は流れの激しい変動によって厚さが増す反面,平均速度が断面にわたって一様化されるので,壁面での速度こう配が大きく,摩擦抵抗の増大と渦の集中をきたす。…

※「乱流境界層」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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