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境界層 きょうかいそう boundary layer

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

境界層
きょうかいそう
boundary layer

粘性流体の流れにおいて,レイノルズ数が非常に大きいときには,物体表面に沿って,速度勾配,すなわち渦度がきわめて大きな薄い層ができる。これを境界層という。境界層の概念は 1904年に L.プラントルによって導入されたもので,これによって,完全流体の理論を中心とする数学的な流体力学が実際の現象と矛盾なく接合され,近代流体力学の基礎がつくられた。

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デジタル大辞泉の解説

きょうかい‐そう〔キヤウカイ‐〕【境界層】

空気・水など粘性の小さい流体が物体の回りを流れるとき、物体の表面にできる粘性の大きくなった流体の薄い層。

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百科事典マイペディアの解説

境界層【きょうかいそう】

粘性の小さな流体(空気,水など)が物体に接して流れているときは,流れ全体を,物体表面に接し粘性が強く作用しているごく薄い層と,その外をとりまく完全流体の流れとに分けて考えることができる。

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうかいそう【境界層 boundary layer】

粘性が小さくて無視できるような流れ(主流)の中でも,物体面や壁面などの境界では粘性を無視することのできない薄い層が存在し,この層を境界層と呼ぶ。現実の流体では粘性があるため,流体と壁との境界では相対速度は0となる(粘着条件)。粘性を0とした理想化を行った完全流体として扱った場合,その理論は数学的にも簡潔なものとなるが,粘着条件を満足することができず,一般に壁に平行なすべり速度が現れる。また完全流体では,その中を一定速度で進行する物体に働く抵抗が0になるというダランベールのパラドックスを生ずる。

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大辞林 第三版の解説

きょうかいそう【境界層】

〘物〙 水や空気のように粘性の小さい流体の流れの中に置かれた物体表面の近くで,粘性の効果がかなり顕著に表れているがまだ乱流にはなっていない層状の部分。 → 乱流

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

境界層
きょうかいそう

すべての流体は粘性をもっている。水や空気の一様な流れの中に物体を置くと、流体は物体の表面に粘りつく。つまり物体表面で流速はゼロである。物体から離れるにしたがい、流れは一様流の速度になる。このような物体表面から一様流速になるまでの流速が急に変化する薄い層を境界層という。あるいは、静止した流体中で物体を動かすとき、物体に引きずられて動かされる物体表面付近の流体の層を境界層という。この境界層の厚みは粘性が大きいほど厚くなる。物体が水や空気中を動くとき受ける抵抗は、この境界層内の粘性によって引き起こされるもの(摩擦抵抗)である。円柱や球のような鈍い物体の場合、物体表面に働く圧力勾配(こうばい)のため、境界層内で逆流が発生し境界層が物体表面からはがれて、下流側へ押し出されていく。これを境界層のはがれといい、物体の後ろに渦の層ができることになる。この渦は、次々に分裂して複雑な乱流をつくる原因となる。このような場合、物体の上流側と下流側で流体から受ける圧力に差が生じ、摩擦抵抗以外に圧力抵抗も受けることになる。飛行機の翼のような流線形の物体では、境界層のはがれが生じにくく圧力抵抗がほとんど働かない。[池内 了]

大気の運動と境界層

境界層は、層流境界層と乱流境界層に大別される。層流境界層は固体壁に隣接した流体の薄い層で、ここでは分子粘性による応力が支配的である。乱流境界層は層流境界層に隣接する乱流層で、ここでは乱渦による応力が支配的である。大気の運動も、地球表面近くでは地表面の影響を強く受け、地表面に接した薄い層では分子粘性による応力が支配的である。
 気象学では、特別の場合を除き、分子粘性による応力を無視することができるので、ここでは乱流境界層のみを考える。大気の運動が地表面の摩擦によって特有の力学的特性を表す気層を(大気)境界層とよんでいる。この層の厚さは地表から約1キロメートルである。これより高いところでは、地表の摩擦の影響がほとんどないので、これを自由大気とよぶ。自由大気では、地衡風の関係が近似的に成立するので、地表面から鉛直方向に風向を順次たどると、地衡風向と一致する高さに達する。この高さを摩擦高度とよぶ。これは大気境界層の高さを知る目安となる。大気境界層は下部と上部に大別される。下部境界層は地表から約100メートルの高さまでの気層をさし、地表境界層または接地(境界)層とよばれる。地表境界層と大気境界層を同義に用いることがある。この層内ではシャー応力が一定とみなされ、空気の運動は摩擦力のみに支配される。地表境界層のうち、対流によって空気が上下に混合される気層を(大気)混合層とよぶ。混合の及ぶ高さは、最高気温が出る日中にもっとも高くなる。混合層の厚さと層内の平均風速は大気汚染の予報に有力な目安を与える。上部境界層は地表境界層と自由大気の中間にあたるため、転移層またはエクマン(境界)層とよばれる。地表面から鉛直方向に風のベクトルの先端を順次連ねて得られるスパイラルを、エクマン・スパイラルとよぶ。この層内では、シャー応力が一定でなく、気圧傾度力、偏向力および摩擦力が近似的に平衡している。大気境界層内の風は摩擦力のために等圧線を横切って低圧部に向かう成分を有している。このため、地上の低気圧と高気圧にはそれぞれ水平収束と水平発散が対応し、大気中のエネルギー収支や、降水現象に関係の深い水蒸気の収支、また台風など擾乱(じょうらん)のエネルギー機構に対し重要な役割を演じている。[股野宏志]

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世界大百科事典内の境界層の言及

【渦】より

…一般の渦運動では流体の各点のまわりにこのような回転運動があり,ベクトルとしての渦度は場所ごとに変化する。粘性が小さく渦のない流れでも,その中におかれた物体の表面では流れが静止するために,流れに垂直な軸をもつ渦の集中した薄い層(境界層)が表面に存在する。このような渦層は速さの異なる二つの平行流の界面にも現れる。…

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