改訂新版 世界大百科事典 「乾隆ガラス」の意味・わかりやすい解説
乾隆ガラス (けんりゅうガラス)
中国,清代乾隆帝の時代のガラス器。中国のガラスの歴史は紀元前11世紀の西周にはじまるとされているが,戦国時代から宋代になるまで鉛ガラスが主であった。つくられた器物は西洋に比べて劣っていたが,明代になって西洋のガラス製造の技術が導入され,首都北京にガラス器の工場ができた。清の康煕帝の1680年,宮廷用の工場として瑠璃厰(るりしよう)がつくられ,乾隆帝の時代に技術は最高潮に達した。製品は瓶,壺,鉢,嚊煙壺(かぎタバコ入れ)などで,白色不透明または半透明のガラスの上に緑,赤,黄などの色ガラスを厚くかけた後,この色ガラスを玉器の細工のように浮彫りにして草花,人物などを表現したものが特徴的である。乾隆ガラスもまた鉛ガラスである。
執筆者:山崎 一雄
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