乾隆二年帳(読み)けんりゆうにねんちよう

日本歴史地名大系 「乾隆二年帳」の解説

乾隆二年帳
けんりゆうにねんちよう

写本 県立図書館東恩納寛惇文庫

解説 一七三七年階段での間切・島・村名を記した郷村帳。県立図書館の東恩納寛惇「史料ノート九」に収録される。しかし乾隆二年帳そのものとして全文が収録されているのではなく、史料ノート九の中心をなす享保二一年帳(絵図郷村帳と当時用候表を収載)との校合のために用いられている。校合の結果、異同があれば当該個所に「乾隆二年帳には云々」と注記されるにとどまる。また別の個所に各間切ごとに絵図郷村帳との比較で判明した新村と村の移管を記し、さらに史料ノート九には別に「乾隆二年帳 新間切の部」として一六六〇―七〇年代に新設された間切とその村名が記されている。この三分された情報を総合して初めて乾隆二年帳の全体が復元できる。乾隆二年帳は絵図郷村帳―乾隆二年帳―明治二年帳―「琉球藩雑記」と続く系列の資料で、「琉球国由来記」「琉球国旧記」とは系列を異にしている。正保国絵図とセットで一六四九年に成立したとみなされる絵図郷村帳以降に成立した村などが「琉球国由来記」などに登場しているにもかかわらず、乾隆二年帳では絵図郷村帳を受けて新設と記されている。乾隆二年帳は実態を反映した史料とはいえず、表向き、薩摩鹿児島藩向けの史料と考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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