予野村(読み)よのむら

日本歴史地名大系 「予野村」の解説

予野村
よのむら

[現在地名]上野市予野

治田はつた村の東。二〇〇メートル前後の山に囲まれた小盆地で、東山地から流れ出る花前はなまえ川の流域集落がある。花前に平安期の土師器片、鎌倉期の瓦器が出土した一五〇平方メートルほどの遺跡包含地があるが、古墳はない。古山ふるやまから西進して当村を経て名張なばり川を地蔵瀬じぞうのせ渡で越えて、大和の中峯山ちゆうむざん(現山辺郡山添村)に出る道があって、「三国地志」に「古ハ松瀬ハ渉ラズ、此ノ瀬ノミナリ」と記す。

天養元年(一一四四)三月二九日付の太政官符案(三国地志)に、「興福寺西金堂領字予野村公田三十余町」とみえ、以来当地伊賀興福寺領の拠点となった(→予野庄。興福寺官務牒疏(内閣文庫蔵)にみえる菩提樹院ぼだいじゆいん跡は前出まえでの大和へ出る道の北側にある。その東の上出の千賀地かみでのちかじ谷に城館を構えた千賀地半蔵(服部半蔵)家は、紀州保田やすだ庄の豪族の出で、保田則直が当地の服部家を継ぎ、長子則宗は徳川家康に仕えて三千五〇〇石の旗本となり、弟元則は藤堂高虎に仕えて上野の城代家老職を世襲する藤堂采女家を興し、七千石を与えられている(寛政重修諸家譜)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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