二字ずつ切れない四字熟語

四字熟語を知る辞典の解説

四字熟語は、多く意味的に「二字+二字」で区切ることができます。「揚揚ようよう」は「意気+揚揚」、「けいこうぎゅう」は「鶏口+牛後」、「えつどうしゅう」は「呉越+同舟」という具合に。

 コラムで取り上げた四字並列は、「老+若+男+女」のように一字ずつ区切られます。これもまた、「老若+男女」と「二字+二字」に分けても、おかしくはありません。

 一方、「二字+二字」に分けると、決定的におかしい四字熟語があります。

 その代表は「いちたいすい」「ちゅう」です。「一衣+帯水」「五里+霧中」と切りたくなりますが、意味的には「一衣帯+水」「五里霧+中」です。すでに「一衣帯水」の項で述べました

 仏教語の「あいべつ」も、「愛別+離苦」には分かれません。「愛する人と別離する苦しみ」なので、意味的には「愛別離+苦」となります。同じく仏教語の「おんぞう」も、「うらみ憎む者に会う苦しみ」なので、「怨憎会+苦」と切れます。

 ほかにも、「二字+二字」で切れないものは、しばしばあります。特に、全体で文の形になっている四字熟語は、途中で切るとおかしくなります。

 たとえば、「傍若無人」。「傍若」だけを取り出しても意味不明です。これは、「かたわらに人無きがごとし」、つまり「周囲に人がいないかのような振る舞いだ」ということです。漢文のように、全体を訓読して、初めて意味がわかります。

 あるいは、「不得要領」。これも「不得」だけでは何のことかわかりません。全体で「要領を得ず」というまとまった意味になります。それなら、四字熟語の形でなく、普通に「要領を得ない」と言えばいいところですが。

 「閑話休題」は、「閑話」「休題」という二種類の話を並べたと思っている人もいます。実は、「休題」は「うことをめよ」で、全体で「閑話(=むだ話)はもうやめよ」というひとつの文です。

 仏教語の「しきそくくう」は、哲学的なことばです。すべての形あるものは、本質的にはくうであるというのです。「しきすなわこれ、空」と読むのであり、「色即+是空」と切ることはできません。

 四字熟語は、見かけは同じでも、「二字+二字」の単純なものから、ひとつの文を表す場合まであります。たった漢字四字の中に、ひとつのまとまった思想が表現されていることには驚きます。

出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報

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