一衣帯水(読み)イチイタイスイ

大辞林 第三版の解説

南史陳後主紀より。衣帯は帯の意
一筋の帯のように狭い川。また、海や川によって隔てられているが、近いこと。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (「衣帯」は帯のこと) 一すじの帯を引いたような狭い水の流れや海峡。また、そのような水によって隔てられていること。
※日本外史(1827)一二「吾祖騎渡劫川。況此一衣帯水乎」
※将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉一一「其東方には一衣帯水を隔てて世界に無類なる大帝国の支那と相対し」 〔南史‐陳後主紀〕

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四字熟語を知る辞典の解説

一すじの帯を引いたような狭い水の流れや海峡。また、そのような水によって隔てられていること。

[使用例] 一衣帯水をなしているその対岸の島には、岡の麓に民家が一軒もなかった[井伏鱒二*さざなみ軍記|1938]

[使用例] 二本松きようのすけ義継は政宗に眼前一衣帯水の彼方にある阿武隈川の対岸一帯を占拠されて動揺した。大内が没落すれば伊達の鋒先は必然二本松へむかってくる[中山義秀*仇し野|1947]

[使用例] 山口と堺は瀬戸内海の西と東。一衣帯水の間柄である。しかも西日本の物流の大動脈を押さえているのだから、交易や交流があるのは当たり前だった[安部龍太郎*五峰の鷹|2016]

[解説] 狭い川や海を隔てたごく近い関係、という味合いで使われます。中国・南朝の歴史を記した「南史」には、ずいの文帝が「一衣帯水を隔てた隣国の民衆が苦しんでいる」と称して、隣国・陳に攻め入ったことが書かれています。
 二国間の関係が注目を集める時期に、しばしば使われることばです。日韓基本条約締結の頃(1964~65)や、日中平和友好条約締結の頃(1977~78)には、国会の議論の中で「一衣帯水」の表現が特に多く使われました。
 このことばは、区切り方も問題になります。意味上は「一衣帯+水」と切れます。「一衣帯(=一つの帯)ほどの水」ということだからです。一方、発音上は一続きに読むか、または「いちい、たいすい」と区切ります。
 意味の切れ目と発音の切れ目には、よく食い違いが起こります。「五里霧中」は、「五里霧(=五里の霧)の中」ということなので、意味的には「五里霧+中」と切れます。でも、発音するときは「ごり、むちゅう」となります。

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