四字の並列する四字熟語
当然ながら、四字熟語には四つの字が並んでいます。ここで取り上げるのは、四字が単に並ぶのでなく、同じ資格で「並列」している熟語です。
たとえば、「花鳥風月」。自然の美しい風物を意味することばですが、熟語の構成を見ると、「花と鳥と風と月」という四つのことばが平等に並んでいます。典型的な四字並列です。
ほかにわかりやすい例を挙げると、「冠婚葬祭・喜怒哀楽・山川草木・春夏秋冬・士農工商・老若男女」などがそれに当たります。仏教で言う「生老病死」や、武田信玄の「風林火山」も四字並列の例です。
四字並列のことばの中には、聞いたことはあっても、意味を問われると、少し戸惑うものもあるかもしれません。
「起承転結」は、四コマ漫画の基本などとして知られていますが、もとは漢詩の構成法でした。詩を起筆し、それを承け、転回させ、最後に結ぶこと。芸術作品の構成法であり、レポートなどの論理的な文章には向いていません。
「切磋琢磨」。具体的にはどうすることでしょうか。元は、象牙などの加工で、「切」は切る、「磋」は研ぐこと。また、玉石の加工で、「琢」は細工する、「磨」は磨くことです。そこから、お互いに磨き合う意味になりました。
「行住坐臥」は、普段の生活ではあまり使わないかもしれませんが、意味は「普段」ということです。仏教で、歩くこと、止まること、座ること、横になることを指します。「行住坐臥、師の恩を忘れない」などと使います。
中には、一見して四字並列なのかどうか、わかりにくいものもあります。
たとえば、「怪力乱神」。別のことばの「快刀乱麻」に見た目が似ていますが、無関係です。「論語」にあることばで、怪異、暴力、動乱、神秘のこと。この四つは理性で判断できないもので、孔子はこれについて語らないと言います。
「権謀術数」も、まるで数学用語のようで、四字並列のようには見えません。このことばは本書でも取り上げました。「権」「謀」「術」「数」のどれも計略のことです。全体として、「いろいろな計略」の意味になります。
四字並列は、四つのことばが必然的に並んだものもありますが、類義語を無理やり四つ並べたようなものもあります。「権謀術数」などはその例でしょう。
出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報
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