傍若無人(読み)ボウジャクブジン

デジタル大辞泉 「傍若無人」の意味・読み・例文・類語

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精選版 日本国語大辞典 「傍若無人」の意味・読み・例文・類語

ぼうじゃく‐ぶじんバウ‥【傍若無人・旁若無人】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「傍(かたわら)に人無きが若(ごと)し」の意 ) 人前をはばからず勝手気ままな言動をすること。また、そのさま。傍若。ぼうじゃくむじん。
    1. [初出の実例]「此人容体頗勝人、心性誠叶時、上皇被仰合万事、仍天下之権威傍若無人也」(出典:中右記‐保安元年(1120)七月二二日)
    2. 「傍若無人(バウジャクブジン)の振舞せられたるも理り哉」(出典太平記(14C後)一〇)
    3. [その他の文献]〔史記‐刺客伝・荊軻〕

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四字熟語を知る辞典 「傍若無人」の解説

傍若無人

人前をはばからず勝手気ままな言動をすること。

[活用] ―な・―に。

[使用例] はなにも聞かなかったようにしばらく黙っていた。それから欲求不満の女子大生みたいに傍若無人にみにくい高笑いをした[大江健三郎*日常生活の冒険|1964]

[使用例] 夕陽にかがやいた山門背後にさして大きくない寺が見える。うしろは、がけ茶色の切りたった山につづいている。はうす暗く、ひんやりとして板の間には二、三羽の鶏が傍若無人に歩きまわっていた[遠藤周作沈黙|1966]

[使用例] 十分近くも待たせたので、よほど重要な用件かと思えば、絵葉書をとり出して来て、うれしそうに眺めている。不届きな男、うわさ以上に傍若無人なやつだと思った[城山三郎*官僚たちの夏|1974]

[解説] 「かたわらに人無きがごとし」と読みます。「史記」に記された中国・戦国時代のきゃくけいの話に出てきます。
 刺客というのは暗殺を請け負う人物ですが、荊軻は書を好み、社交的でもありました。仲間たちと街で飲んでは、楽器を弾き、歌って楽しむ日常でした。
 酔いが回ると、仲間とともに大声で泣き、「かたわららに人無き者の若し」だったと言います。ここでは「旁」の字が使われていますが、「傍」と同じです。
 この荊軻が、後にしん王を殺そうとして失敗するまでが、「史記」には活劇ふうに描かれています。
 「傍若無人」の現代語での使い方を見ると、いささか幅があります。電車の中で、周囲乗客がいないかのように騒ぐ場合に使うのは、典型的な用法です。一方、「おうへい、無礼」に近い意味でも使います。「息子父親に対して傍若無人にふるまう」といった使い方です。「人を人とも思わない」に近いようです。

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