二重金利政策(読み)にじゅうきんりせいさく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「二重金利政策」の意味・わかりやすい解説

二重金利政策
にじゅうきんりせいさく

長期金利短期金利の関係、すなわち金利構造に介入する政策をいい、1961年2月にアメリカで採用された。ケネディ政権が登場した同年1月は、アメリカは不況下にあったので、景気回復のためには、民間投資を刺激する必要から、長期金利の引下げが望まれた。他方、当時アメリカの国際収支赤字の大きな要因であった民間短期資本の流出を阻止するためには、短期金利はできるだけ高いほうが望ましかった。この相反する要望を実現するために、金利構造に人為的に介入する政策、いわゆるオペレーション・ツイストoperation twistがとられることとなった。すなわち、国債管理政策としては、長期債の発行を手控え、短期債の発行を積極的に行い、公開市場操作では、短期債の売りオペレーション、長期債の買いオペレーションを行うことによって、長期債の市価の上昇を通してその利回り低下を、短期債の市価の下落を通してその利回りの上昇を図ろうとした。このような公開市場操作は、1953年以降採用されていた金利構造に介入しないというビルズ・オンリー政策と矛盾することになるので、連邦公開市場委員会は61年2月にビルズ・オンリー政策を一時的に中止し、同年12月には恒久的廃止を決定した。

[伊東政吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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