有価証券への投資の結果生じる配当・利子などの有価証券の買入れ価格に対する割合。証券市場のように有価証券の売買を通じて資金の貸借が行われる場合、資金の貸し手、つまり有価証券の買い手は、有価証券を額面価格とはかならずしも一致しない一定の価格で購入し、有価証券が債券であるときはその満期を通じて(株式の場合は満期がないが)、その債券の券面に記載された表面利子(株式の場合は発行者の業績に応じての配当)を獲得する。この表面利子はクーポン利子ともいわれ、これに対する証券の額面価格の割合を表面利率またはクーポン・レートという。そして、表面利子に対する証券価格の割合を利回りとよぶのである。
新規証券の発行市場において、証券はかならずしも額面価格で発行されるわけではない。証券発行者の債務償還の信頼度が高いほど額面に近い価格で発行することができる。一般に公共債は民間債より信頼性が高く、民間債でも発行企業の業績に応じて格付けがなされる。発行者にとっての発行者利回りは、
によって算出される。他方、証券の購入者にとっての応募者利回りは、
によって算出される。
株式の場合には、新規株式は額面価格で発行されることもあるが、多くの場合はその時の株式流通市場での株価に基づいて発行される、いわゆる時価発行が多い。したがって利回りは配当に対する上のような意味での株式発行価格の割合となる。
既発行の債券や株式が売買される証券流通市場においては、証券の価格はその時その時の需給を反映して変動する。したがって、流通利回りは利子あるいは配当に対するその時々の流通市場における証券価格の割合となる。流通利回りは応募者利回りに密接に反映する。投資家は新規発行証券の利回りとその証券の流通市場での利回りを比較して、有利なほうを選好するからである。
1960年ごろには、本来高位にあった株式利回りが、債券、預金の利回りより低くなった現象をとらえて「利回り革命」ということばも誕生した。また、利回りと市場利子率は一致する。各金融資産の市場間に裁定が働くからである。したがって、市場利子率が上昇すると証券価格は低下し、逆に下落すると上昇するという関係が生ずる。
[原 司郎・北井 修]
『阿達哲雄著『金利』(1975・金融財政事情研究会)』▽『原司郎編『テキストブック金融論』(1980・有斐閣)』
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 不動産売買サイト【住友不動産販売】不動産用語辞典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…1920年代のアメリカで生まれた株価評価の考え方であり,今日まで主流を占めて使用されている。株式投資の採算は従来,株主配当すなわち利回りを基本としてきたが,企業基盤の確立,高度経済成長時代での投資活発化を背景に,企業の収益力,安定性に加え成長性を重視する傾向が強くなり,58年前後の,いわゆる利回り革命前後より普及が始まり,今日では株価評価上,最も代表的な指標となっている。株価収益率が高いということは会社の利益に比べ株価が相対的に高く,逆に低いということは株価が利益に比べ割安ということになる。…
…(4)貸出金利 金融機関の貸出しに対する金利で,従来は銀行,信託銀行等の貸出金利には臨時金利調整法によって上限が存在したが,1979年以降しだいに緩和され,94年10月に金利規制は廃止された。(5)債券利回り 債券は額面価格と発行価格に差(発行差額)があることが多いので,表面金利に発行差額を加えたものと発行価格の比率である債券利回りによって金利を表す。また債券は債券市場において流通するので,売却価格と取得価格の差(キャピタル・ゲインあるいはキャピタル・ロス)が生じうる。…
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