家計、企業、金融機関、政府などが、取引期間が1年未満の資金の貸し借りをした場合に適用される金利。普通預金金利や期間1年未満の定期預金金利のほか、短期国債、コール、コマーシャルペーパー(CP)、譲渡性預金(CD)、レポ取引市場の金利などが該当する。一般に景気がよく物価が上昇する局面では短期金利は上昇し、景気が悪く物価が下落する局面では低下する傾向がある。また短期金融市場の資金量が増えれば短期金利は低下し、資金量が減れば上昇する傾向がある。このため主要国の中央銀行は、公開市場操作(オペレーション)で短期金融市場への資金量を調整し、短期金利を政策的に誘導している。すなわち景気が悪く物価が低下する局面では、中央銀行が市場から国債や手形などを買い取って市場に資金を供給し、短期金利の低下を促して景気を刺激する。反対に景気が過熱気味で物価が上昇する局面では、中央銀行は市場に国債や手形を売り出して市場の資金を吸収し、短期金利の上昇を促して景気過熱を防ぐ。
日本では、銀行間の資金融通を行うコール市場において、無担保で翌日には返済される資金のやりとりに適用される無担保コール翌日物金利が、日本銀行によって誘導目標金利(政策金利)とされてきた。しかし同金利がデフレ下でほぼ0パーセントから変動しないため、金利引下げによる金融緩和には限界があった。そこで2013年(平成25)4月、日本銀行総裁の黒田東彦(くろだはるひこ)(1944― )は政策目標を資金供給量の指標であるマネタリーベースとする量的緩和策に切り替えた。
なお、短期金利の国際指標には、イギリス銀行協会が集計・公表しているロンドン銀行間取引金利(LIBOR(ライボー))があり、企業向け融資や個人向けローンの金利の目安として活用されている。日本では全国銀行協会(全銀協)が東京銀行間取引の短期金利「全銀協TIBOR(タイボー)(Tokyo InterBank Offered Rate)」を集計・公表している。なお返済までの期間が1年を超える場合に適用される金利を長期金利という。一般に、返済までの期間が短いほど資金が返ってくる可能性が高まるため、長期金利より短期金利のほうが低くなる。しかしヨーロッパ債務危機などのような金融危機時には、遠い将来よりも近い将来の返済への警戒感が強まり、長短金利が逆転する現象が起きることがある。
[矢野 武 2016年4月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…この金利を操作することを含めて日本銀行の対民間貸出しを操作することを金利政策,公定歩合政策あるいは貸出政策といい,金融政策の重要な手段となっている。(2)短期市場金利 金融機関が支払準備金の過不足を調整するために短期の資金取引を行う短期資金市場の金利(短期金利)で,コール市場におけるコール・レート,手形売買市場(手形市場)における手形(売買)レートがある。コールおよび手形(売買)市場は金融機関だけが市場に参加しうるインター・バンク市場であるが,ほかに一般の事業会社も参加しうる短期資金市場として現先市場およびCD市場がある。…
※「短期金利」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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