井河(読み)いかわ

日本歴史地名大系 「井河」の解説

井河
いかわ

大井川の最上流地域で、周囲は深い山に囲まれ、険しい峡谷に形成された郷村。大井川沿いの通行は接岨せつそ峡に阻まれるため、安倍川支流の中河内なかごうち川やその支流西河内川をさかのぼり分水嶺を越えて通う道が発達していた。近世には井川いかわ七郷とか七里とよばれる上田うえだ薬沢やくさわ中野なかの田代たしろ岩崎いわさき上坂本かみさかもと小河内おごうちの七ヵ村が存在した(「駿河記」など)。室町中期には下井川の地名がみられ、その頃には上井川・下井川に分れていたと思われるが、永正一八年(一五二一)五月四日に今川氏親が駿府浅間社(静岡浅間神社)社家村岡大夫に「井河河堰」の草の下刈を認める朱印状(村岡文書)を出している。河草の下刈は川からの砂金採取のためのもので、安部あべ金山の一つ井川金山の採取権を認めたものといえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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