井関王子跡(読み)いせきおうじあと

日本歴史地名大系 「井関王子跡」の解説

井関王子跡
いせきおうじあと

[現在地名]広川町井関

熊野街道の東側、小高い台地上に跡地がある。熊野九十九王子の一。「続風土記」は井関王子社の項に「社地周八十二間、村の北入口にあり、御幸記に井関王子とある是なり」と記す。藤原定家は建仁元年(一二〇一)一〇月九日湯浅ゆあさ宿(現和歌山県湯浅町)に宿し、翌一〇日早朝出立、久米崎くめさき王子(跡地は現湯浅町)を経て「次参井関王子、於此所雨漸休」と記す(後鳥羽院熊野御幸記)。なお「続風土記」は先の記述に続けて「今津兼王子といふ、津兼は地の字なり」という。これは当地に井関王子以外に津兼つかね王子もあったという伝えがあり、両者を同一とみる説、井関王子に先行して津兼王子が存在したとする説があるためで、「続風土記」は前者の説に立っている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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