日本大百科全書(ニッポニカ) 「交代性人格」の意味・わかりやすい解説
交代性人格
こうたいせいじんかく
alternating personality
1人の人格がまったく変貌(へんぼう)し、あたかも他の人格に交代したと思われる状態が一定期間続き、元の人格に復したときに、交代した人格のときの言動をいっさい記憶していないというのが交代性人格であり、交代意識ないし継時的二重人格ともよばれる。これは精神医学の歴史では、統合失調症(精神分裂病)などよりも早くから詳細な記述が多い。臨床医学的には、交代性人格が、シャーマン的ないし類似宗教的儀式のなかで出現する場合が少なくない。精神医学史のうえでは、これまで交代性人格は精神病理現象として記述されてきたが、今日の文化精神医学の見地からは、複数の価値基準ないしはアイデンティティに依拠する複数の自我の交代的な出現と理解できる。
[荻野恒一]
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