改訂新版 世界大百科事典 「交通検問」の意味・わかりやすい解説
交通検問 (こうつうけんもん)
交通法規違反の予防・検挙を目的とし,走行中の車両に短時分の停止を求め,運転者などに対し,必要事項について質問などをすること。自動車検問の一種であり,ほかに,不特定の一般犯罪の予防・検挙を目的とする警戒検問,特定の犯罪の検挙と捜査情報の収集を目的とする緊急配備活動としての検問もある。
警察官は,一定の交通法規違反を外観上認定したとき,危険防止措置をとるため,道路交通法により,当該車両を停止させうる。しかし,外観上の不審の有無を問わず一斉に行う形態での交通検問(一斉検問)については,明文規定を欠く。1980年9月の最高裁決定は,警察法2条の〈交通の取締〉という文言と公道利用に伴う当然の負担を根拠に,一斉検問を合法とし,警察比例の原則(警察権発動の条件や程度は,その対象となる社会公共に対する障害の程度に対応したものでなければならないという原則)に従い実施すべき旨判示した。
執筆者:荒木 伸怡
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報