人的資本論(読み)じんてきしほんろん

大学事典 「人的資本論」の解説

人的資本論
じんてきしほんろん

人的資本論の基本的な考え方は,個人が教育を受けると,その教育によって身に付いた知識や技能(すなわち人的資本)によって労働生産性が向上し,より高い賃金が得られるようになるというものである。1950年代後半から60年代にかけて,ジェイコブ・ミンサー,セオドア・シュルツ,ゲーリー・ベッカーなどのシカゴ・コロンビアトリオと称される研究者らによって,精力的に人的資本論の研究が進められ,現在の教育経済学の確立につながった。ただし,上記のような考え方そのものは,アダムスミスの『国富論』やアルフレッドマーシャルによる『経済学原理』などにルーツがみられるとされる。そして人的資本概念は,経済成長における資本と労働によってだけでは説明のつかない,残りの大きな部分を説明しうるものとして注目され,1960年代におけるマンパワーポリシーなどの理論的基礎ともなった。
著者: 島一則

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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