日本大百科全書(ニッポニカ) 「今井一志軒宗普」の意味・わかりやすい解説
今井一志軒宗普
いまいいっしけんそうふ
生没年不詳。江戸のいけ花創成期の作家。明和(めいわ)7年(1770)刊の『瓶花群載(へいかぐんさい)』のなかに、「松竹梅」の花図が収録されている。流派名に「古流」が初見されるところから、一般に古流の始祖とされているが、伝記の詳細は不明。ただ古流4代家元ととなえる関本理恩(りおん)が、『桜の雫(しずく)』のなかで、「京都より一志軒今井宗普といへる人東武に下り神田明神の地内に住し」と述べていることや、また昭和年代になって発見された今井一志軒宗普の『古流生花指南(こりゅういけばなしなん)』(1791)のなかでは、生花が自由で自然な表現形式であることを主張しているなど、その一端が明らかにされている。
[北條明直]
『全国華道古流協会編『古流の古伝』上(1973・主婦の友社)』