古流(読み)こりゅう

日本大百科全書(ニッポニカ)「古流」の解説

古流
こりゅう

いけ花流派。江戸中期、明和(めいわ)年間(1764~72)ごろに生花様式をもって江戸に発生したいけ花流派の一つ。一般には今井一志軒宗普(そうふ)を創流者としているが、その系譜は明らかではない。門下に松応斎安藤凉宇(りょうう)(1735―1807)があり、さらに松盛斎関本理遊(1772―1849)に引き継がれ流の名が広まった。理遊は『古流生花百瓶(ひゃくへい)之図』(1803刊)をはじめ多くの出版物を上梓(じょうし)しその普及に努め、門人は江戸、北陸をはじめ全国に及んだ。理遊の跡を理恩(1806―78)が継ぎ、今日の古流の実際上のとみなされる。彼は、古流の花型の特徴である水際の立ち上がりの傾斜角度を決定づけ、真、行、草の花型を確立した理遊の理論を整理し、その意味づけを施し、自らの肩書を「古流家元生花宗師」とした。理恩は明治維新後のいけ花の衰退期に際し、当時の金沢の会頭松務斎近藤理清らに後事を託し、ここに古流の中心が関東と北陸に分かれ、これを契機に流派分立の気運がおこり多くの分派を生じた。明治中期いけ花復興の気運により東京復帰が行われ、1898年(明治31)総合団体「花友会」の結成をみ、昭和になって「全国華道古流協会」の発足となり、1966年(昭和41)そのうちの一つ古流松藤(しょうとう)会が社団法人を結成、71年東京・文京区小石川に「古流アカデミー」を完成させた。現在、古流協会所属の会派は15。古流松藤会、古流華耀(かよう)会、古流松禹(しょうう)会、古流松慶会、古流松麗会、古流寿松会、古流理恩会、古流かたばみ会、古流松線会、古流花盛会、古流曙(あけぼの)会、古流松濤(しょうとう)会、古流松鳳(しょうほう)会、古流松盛会、古流松応会である。

[北條明直]

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精選版 日本国語大辞典「古流」の解説

こ‐りゅう ‥リウ【古流】

〘名〙
① (形動) 昔から伝えられている方式。古風な慣習。古い流儀。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※滑稽本・風来六部集(1780)里のをだ巻評「客が来いでも吉原じゃと、古流(コリウ)の角(かど)を崩さぬやうに」
② 茶道の一派。千利休が改革する以前の古い流儀。
※黄表紙・江戸生艷気樺焼(1785)上「おらが若旦那にほれるとは、千家かこりうか遠州かしらぬが、とんだ茶人だ」
③ 生花の一派。江戸中期、宝暦・明和(一七五一‐七二)の頃、江戸で一志軒今井宗普創始し、その弟子松応斎安藤涼宇、次いで松盛斎関本理遊が発展させたもの。江戸時代には諸派があったが、現在のものは一志軒の系統を継ぐ。
※当世垣のぞき(1766)華家の名目「当時流布の流義は千家古流、遠州流、〈略〉唯の古流といへるなど有混雑したる事也」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「古流」の解説

古流
こりゅう

生け花の流派。江戸時代中期の生花の大成期に活躍した一志軒今井宗普に始る最も生花らしい流儀。茶道三宗匠の一人である今井宗久系を名のって古流といったらしいが真偽は不明。3代目の松盛斎理遊が発展させ,関東,北陸,防長,関西に及んだ。 18世紀末には分派もあり,19世紀になって関西の古流から未生流が派生し,関東の古流,関西の未生流と分布を分け合った。

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百科事典マイペディア「古流」の解説

古流【こりゅう】

いけばなの一流派。相阿弥の挿花法に基づき,元禄年間今井宗普(一志軒)の創始と伝えられ,松盛斎関本理遊〔?-1849〕が完成。技巧を排し自然とする。

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デジタル大辞泉「古流」の解説

こ‐りゅう〔‐リウ〕【古流】

昔からの古い方式、慣習。古風な流儀。
生け花の一派。江戸中期に一志軒今井宗普いまいそうふが創始。多くの分派を生む。

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世界大百科事典 第2版「古流」の解説

こりゅう【古流】

いけばなの一流派。江戸時代中期,明和年間(1764‐72)に成立をした生花(せいか)の流派。現在では明和6年《瓶花群載》に花形図の載せられている,今井一志軒宗普をその祖としている。宗普の花論については不詳だが,その弟子安藤涼宇は湯島天神下に住み,大名屋敷などに出入りして古流としての流派形成の基盤をつくり,江戸市中を中心として発展させた。寛政年間(1789‐1801)ごろより涼宇門下で古流中興の祖といわれた関本理遊の活躍によって関東一円から北陸にかけて流派の組織がひろがっていった。

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