仏ヶ浜(読み)ほとけがはま

日本歴史地名大系 「仏ヶ浜」の解説

仏ヶ浜
ほとけがはま

[現在地名]日立市田尻町 度志前

多賀山地丘陵南崖縁に位置し、西側を国鉄常磐線が、東を国道六号が通る。「常陸国風土記」の多珂たか郡の項に「国宰、川原宿禰黒麻呂の時、大海の辺の石壁に、観世音菩薩のみ像を彫り造りき。今に存り。因りて仏の浜と号く」と記される仏の浜の地とされる。しかし大田尻おおたじり海岸より西方一キロ余を隔てることから、その比定については大田尻とする異説もあるため、度志前どしまえを含め大田尻辺り一帯の地を仏ヶ浜となすとして県史跡に指定された。

崖壁面に彫られた正観音像を本尊として観音堂が建立され、文明二年(一四七〇)南極寿星がこの堂に参籠、霊夢により宮田みやた杉室すぎむろの地に草庵を結び、山直やまなお(現多賀郡十王町)城主小野崎朝通の喜捨により大雄だいゆう院を開基したといわれ、また小野崎通長がこの堂に持仏を安置したとも伝える。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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