低温生物学(読み)ていおんせいぶつがく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「低温生物学」の意味・わかりやすい解説

低温生物学
ていおんせいぶつがく

一般に0℃以下またはそれに近い温度で、生命現象を研究する生物学の一分科。生物は低温(一般に0℃以下の温度)下に置かれたとき、常温下とは異なった生理状態となる。零下40℃以下にもなる厳寒地にも生物は生育し、一方では異常低温によって植物が枯死してしまうという凍害現象も生ずる。これらの現象は古くから興味をもたれ、低温生物学として研究されてきた。今日では、生物の耐寒性耐凍性機構解明が細胞以下のレベルで研究されている。現在、絶体零度近くの温度(零下269℃)まで冷却したのちもなお生育する植物(ヤナギなど)も知られている。これは、細胞内が凍結しなければ、超低温下でも生命を維持できることを示しており、動物の人工授精用の精子や輸血用血液の保存にこのような研究の成果が応用されている。

田中 晋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む