佐藤三左衛門(読み)さとう・さんざえもん

朝日日本歴史人物事典 「佐藤三左衛門」の解説

佐藤三左衛門

生年:生没年不詳
江戸中期の錦魚改良家。大和郡山藩(奈良県)藩士。錦魚(鯉,鮒の変種)の新品種を発見,交配による品種改良を重ね,各地に販売した。元文3(1738)年の春,溜池で紅斑点の混ざった白色の「双尾連生魚」を発見し育養交尾させ,翌年数千尾の胴長で尾の短い「和錦魚」の魚苗を得た。明和年中(1764~72)には短胴尾長の「尾長」(異称「長崎」)を,天明(1781~89)ごろには金色背鰭のない「ランチウ」(異称「丸魚」)を,さらに文化(1804~18)末になると,「尾長」と「ランチウ」の交配新種「大和錦」(異称「獅子頭」「和蘭陀」)を誕生させた。以来,郡山藩士らによってこれらは育養され,元亀2(1571)年中国から和泉国堺に移入,飼育されて以来愛玩物として珍重されてきた錦魚族に加わった。<参考文献>『大日本水産会報告』98号

(田島佳也)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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